KOTEI、SDW AIKOを正式発表、車載ソフトウェア開発を「AIネイティブ」
2026年4月25日、北京国際自動車展示会(Auto China 2026)の会場にて、KOTEIは次世代ソフトウェア開発基盤「SDW 3.0」を発表した。あわせて、AIネイティブ時代に対応した車載ソフトウェア開発プラットフォーム「SDW AIKO」を正式に公開し、開発プロセスそのものの再設計に向けた取り組みを示した。
当日は、同社経営陣をはじめ、パートナー企業、メディア関係者がブースに集まり、発表の様子を見守った。 会場では、代表取締役会長の朱敦尧氏が挨拶を行い、続いて人工知能研究院の執行院長である卢凯旋氏が、SDW AIKOの技術的特長と想定される活用シーンについて説明した。
発表後にはVIP向け体験エリアが期間限定で公開され、来場者はAIを前提とした新しい開発スタイルを実際に体感した。

AIネイティブ時代に向けた開発基盤「SDW AIKO」
自動車の高度化が進む中、従来のソフトウェア開発にはいくつかの課題が指摘されている。 人手に依存する作業が多く、人とツールの連携効率が上がりにくい点や、ウォーターフォール型のプロセスでは仕様変更や短サイクル開発への対応が難しく、結果として開発期間の長期化につながる点などである。
SDW AIKOは、こうした課題に対して包括的にアプローチすることを目的として開発された。 人とAIの協働を前提に開発プロセスを見直し、AIエージェントがプロジェクトの各工程に関与することで、開発全体を横断的に支援する。
要件定義から設計、実装、検証、さらには運用後の改善に至るまで、AIが継続的に関与しながら知見を蓄積することで、使い込むほど精度が高まる仕組みとなっている。 これにより、AIは単なる補助ツールではなく、開発に参加する“チームメンバー”として機能する。
エンドツーエンドでつながる開発プロセス
SDW AIKOでは、要件定義から実機実装までを一貫して扱うエンドツーエンドの開発フローを構築している。
自動駐車機能を検証ケースとして、要件から実車動作までの一連の流れを通した開発がすでに確認されており、AIを前提とした開発でも実際に動作する車載ソフトウェアを完結できることを示した。
今後はこの仕組みをコックピット領域やADAS、車両制御などへ段階的に拡張し、ASPICEなどの開発プロセス基準にも対応した自動化レベルの向上を目指す。
ソフトウェアライフサイクル全体をカバー
本プラットフォームは、ソフトウェア開発のライフサイクル全体をカバーする設計となっている。 要件分析、アーキテクチャ設計、AUTOSAR設定、コードレビュー、単体・システムテスト、成果物チェック、ナレッジ蓄積といった各工程において、AIによる支援を組み込んでいる。
これにより、手作業の負担を抑えながら、品質のばらつきを低減し、開発チームがより付加価値の高い領域に注力できる環境を整える。
車載ソフトウェア開発に特化した6つの特長
SDW AIKOは、汎用的なAI基盤とは異なり、自動車ソフトウェア開発に最適化された設計を採用している。主な特長は以下の通り。
タスクに応じたAIエージェントの自動編成
開発タスクの内容に応じて、要件分析、実装、検証などの役割を担う複数のAIエージェントを自動的に組み合わせる。人手による調整を前提とせず、状況に応じたチーム構成で開発を進める。
ナレッジの蓄積と継続的な学習
プロジェクトの過程で生まれる設計レビューや議論の内容を体系的に蓄積し、再利用可能な知見として整理する。これにより、個人に依存しがちなノウハウを組織的な資産として活用できる。
複雑な開発タスクへの対応力
複数の工程や文書にまたがる処理に対応するため、段階的に処理を進める実行ロジックを備える。長いコンテキストや複数タスクの並列処理にも対応し、開発フローの中で一貫した対応が可能となる。
自動車分野に特化した知識とツール
AUTOSARや機能安全といった車載分野特有の要件に対応するため、専用の知識体系とツール群を統合。車載、クラウド、モバイル環境を横断した開発にも対応する。
セキュリティを前提とした設計
AIの処理は分離された環境で実行され、権限管理も最小限に制御される。デバイス認証や不正な指示への対策も含め、安全性を確保したうえで運用できる仕組みを備える。
コンテキストを維持するメモリ構造
複数回のやり取りの中でも文脈が途切れないよう、階層化されたメモリ構造を採用。プロジェクト全体の背景情報を踏まえた対応が可能となり、継続的な開発作業でも一貫性を保つ。
今後の位置づけ
SDW AIKOの特徴は、自動車ソフトウェア領域における専門性と、開発プロセス全体をつなぐ一貫した設計にある。 単にAIを活用するだけでなく、「どのように開発を進めるか」そのものを見直す点に意義がある。
今回の発表は、車載ソフトウェア開発がAIを前提とするフェーズへ移行しつつあることを示すものといえる。 KOTEIは今後も、AI技術を活用した開発環境の高度化を進め、OEMおよびパートナー企業とともに、モビリティ領域における価値創出に取り組んでいく。